リスクに特化した考え方の本【伝説のトレーダー集団 タートル流 投資の黄金律】
この本は失敗しないようにすることを目的に書かれているのではありません。失敗する恐怖に支配されて、リスクの正確な大きさや現状の把握ができないことは危険だと言っている本です。
リスクを引き受けようとしても、避けようとしても、リスクはあります。じっと身を潜めていても、考えないようにしても、予測不可能なリスクは突然やってきます。
その時に、正しいリスクを引き受け、成功とリスクを考え、素早く決断し行動して、損失を最小限に抑えられるようになるのは、小さな成功と失敗を繰り返し経験して学習するほかありません。
だから、失敗をゼロにするのではなく、致命傷を負わない程度の失敗をする必要があるとタートルのメンバーだった著者の考え方が書かれている本です。
個人レベルでは3つを大事にすべきだと言っています。
- 恐怖を克服せよ。
- 柔軟でありつづけよ。
- 決断に集中せよ。
【恐怖を克服せよ】感情をコントロールする
リスクへの取り組みかたは、恐れたり避けたりするだけではなく尊重して理解することから始まると言います。リスクは、不確実性から起こる事象にさらされることです。
不確実性を避けるのは生物学的な行動で、恐れると全身が機制され情緒的な反応が起こるのは自然なことです。しかし、感情的になったり焦ったりすることでリスク増して、大きな失敗の原因になったりします。経験や予想のしていなかったリスクに恐怖を感じてしまって、普段しないようなルールから逸脱した決断をしてしまい、大きな失敗につながります。
現実はきびしいです。現実に意識を集中し、早く正確な情報を手に入れる必要に迫られる時があります。そんな時は、最悪のシナリオから考えるようにします。自分に都合のいいこと「たいしたことはないんじゃないか」という愚に陥ることは避けて、損失を最小限に食い止める方法を冷静に見極める決断するのです。決断を人任せにしないで、現実へ細かい注意を積極的に自分で払って判断する必要があります。これを、大失敗を例に説明してくれています。
リスクを怖がって縮こまるだけではなく、限られた資源で迅速かつ効果的な決断ができるようになると、リスクを制御し、管理し、軽減することができ、効果的にリスクと向き合い、リスクから利益を得れるようになるのです。リスクの達人はリスク管理術を会得した専門家であるといえます。
小さな成功と失敗を繰り返し経験し、リスクへの取り組み方を訓練することによってのみ、恐怖をコントロールできる自信につながっていきます。
もしも、失敗してゼロになっても、感情的にならず、さっさともう一度一からやり直せば良いのです。
【柔軟でありつづけよ】素早く決断し実行できる環境
柔軟性の4原則
①たくさん実験する
②差を際立たせて差別化はかる
③予測は必要なし世間に順応せよ
④有機的に組み立てる(予測し得ないこと起こった時に対応できる計画練る)
アメリカの自動車 GMとフォードの闘いを例に説明しています。最終的に適者が生存できるのです。
会議で予測ばかりしていても何も変わりません。
【決断に集中せよ】間違えても失敗しても良い。むしろ早く失敗した方が早く成功に到達する時があるくらいだ
大事な決断を他人にゆだねず、自分で判断しましょう。専門家を語る人が自分よりも優秀だと限らないのです。どの世界でも絶対にそうなると言う予測ができることはあり得ません。
「卵は一つのカゴに入れておいてはいけない」のだそうです。
結果に囚われないこと
良い結果をすると正しい決断をしたように思いがちですが、結果ではなく決断に集中せよと言っています。どう言う条件になったら、利益が出て、反対の条件に風向きが変わったら、どのくらいの損出が出るかを把握し、いたずらに損出を膨らませるのではなく、引き受けられる損失をあらかじめ決めておいて、その損失を受け入れると言う一定のルールを決めておくのです。その予想通りに進めば、決断した考え方は間違っていませんし、例え損が出たとしても、決断は正しかったと言うことになります。
「ときには手早くまちがった道筋を選ぶことが、正しい道筋を見つけるための最も手早い策になる」たしかに…自己満足して出したモノが否定されると凹みます。動ける時にうごいて、こんなのでどう?って途中経過などを見せつつ修正加えていった方が次に何をすれば良いのかが見えてきます。
人間は成熟してくると、自分の正しさを証明しようとせず、間違う可能性を悠然と受け入れて、正しく間違える大切さを理解します。正しい答えに早く行き着く為に早く間違えて正すのです。そして、計画Bも持っておきます。リスク分散させるのです。自分は無知であるという現実と向き合うのです。
どんなに大きな利益が出ても、予想と全然違う過程を辿ったのであれば、現実を正しく把握できていませんし、決断そのものも間違っていることになります。
結果に左右されず、淡々とシンプルに決断するために、必要な自信を築く唯一の方法は、リスクを引き受けることなのです。そして、それが、身を滅ぼすような致命傷のリスクを回避できることに繋がるのです。
「直近傾向」と「少数の法則」と言うのがありまして、連続して悪い結果が出たら、正しく処置しているにもかかわらず自分を疑い出すのだそうです。統計学で規模の大きい母集団から採られた充分な数のサンプルは母集団の特性が反映されますが、サンプルのサイズは十分でなければ、たまたまの負の結果に過ぎません。自分一人のたった数回の負の結果だけで自信を疑ってはいけません。10戦9敗を受け入れて、残りの1勝で取り戻せれば勝ちなのです。
リスクの達人
トレーダー
悪いトレーダーは結果だけにこだわって、小さな負けを受け入れられず、勘で取引をして、取引のルールに一貫性がありません。
トレーダーの4つの鉄則は① 長期的にみてプラスのリターンを産むトレード戦略を見つける② リスク管理する③ 首尾一貫して遂行することでプラスのリターンを達成する④ シンプルであれ。シンプルな計画や発想は複雑なものよりも長持ちするのだそうです。
リスクの達人、カーチィス・フェイスの トレーダーの七つのルール①恐怖を克服せよ②柔軟であり続ける③筋の通ったリスク④はずれに備える⑤積極的に現実を求めよ⑥すばやく対応せよ⑦結果ではなく決断に集中せよ。
妥当なリスクは引き受ける。過大な取引しないこと(口数とレバレッジを計算して決める)とトレンドをつかみ損ねないこと(過去4週間と11週間をよく見る)。
明確に整理された投資基準をもつことは大切です。厳格な投資プロセスを持って、リスクを引き受けて、損はするときはあると受け入れることです。儲けではなく守りであるリスク管理と資金管理に時間をかけます。価格ショックなど、予期せぬ惨事は何年か毎に必ずやってきます。
間違えること、損をすることが正しいときがあります。結果が良かったら正しい決断をしたとは言えないのです。逆に、最悪の決断をして儲かる時もあります。儲かったからと言って喜んではいられません。馬鹿げたリスクや勘に頼り、資金をリスクにさらすのは劣悪なトレーダーです。
退職年齢の投資が大きすぎるリスクを引き受ける例は、リスクを理解していないからです。勘や勢いではいけません。
起業家
起業家の7つのルールも同じだが創業したては三つが特に重要になります。
柔軟であり続けること。はずれに備える積極的に現実をもとめよ。
新しいことを始めるのに、はじめの推測が的外れなのは仕方ないことなのです。誤りのまま押し通そうとすることが問題です。誤りを分析して、現実を把握して、柔軟に修正し続けて軌道に乗せるのです。
ER医師
ER医師の7つのルール…類似性があります。ER医師は人の命がかかっています。消極的でチャレンジしないこともまた死につながってしまいます。
恐怖を克服せよでは、恐怖の克服法は徐々に慣らすか荒療法の二つしか方法はなく、どちらにしても、数を経験しなくてはなりません。判断ミスをしないように恐怖は克服しなくてはなりません。
どの分野でも、恐怖の克服は、最重要課題です。
まとめ
個人レベルでは「恐怖を克服せよ」「柔軟でありつづけよ」「決断に集中せよ」の3つを大事にして、大事な決断を他人にゆだねてはいけません。
また、個人には、異なる複数の技能をもつようにすることもすすめています。
一点集中ではない柔軟な投資を続けることもまたすすめています。つねにいくらかの現金の蓄えも持っておくべきだとも言っています。つまりは、最悪のシナリオを予想してリスクを回避させる方法を考えた上で、そのリスクを受け入れる覚悟を持って、成功目指してチャレンジしていこうと言うのです。
この本は、リスクがあるけど、どんどん恐れず突き進めと言っているのではありません。リスクを正しく把握し、最悪のシナリオの対応策も練って、現状を把握して、チャンレンジして、それでもリスクはやってくるから、その時には、今までの失敗と成功の経験を生かして、恐怖に打ち勝ち、柔軟に、決断することに集中しようという本です。
専門家に決断を任せたがるのは誤った決断を下すことを恐れるからです。恐怖を克服して、自分の人生の決断は自分でしましょう。
「卵は一つのカゴに入れない」
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