『共同幻想論/吉本隆明』のレビュー(ネタバレあり)【戦後最大の思想家の難解な哲学書】

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あらすじ『共同幻想論/吉本隆明』

一人でみる個人幻想、男女でみる対幻想、集団でみる国家幻想など独自の考えで、最終的にはいろんな関係性について考察した本。戦争を継続べきだと考えていて死ぬことも恐れず、反戦とか厭戦とか想像すらしなかったという。敗戦で絶望し、人々や自分への蔑み。戦後は汚辱感の中始まった。

二十歳で敗戦。正義と信じていたものが急に悪となり、民主主義へ舵を取っていった。かつて自分が愛した戦争を賛美した詩人達は手の平を返したように平和や民主主義を説いている。価値観が崩れ信じるものがなくなってしまった吉本氏。次に何を目標に生きていけばいいのかわからない。これを考えないと死んでしまう。

戦後マルクス主義の国家論が増えていた時代、究極の人間関係である国家のことを、過去に遡ることによって、根本から考えようとした吉本氏。当然だと思っていたことが崩れてゼロになった時に考えた吉本隆明の思想は、新型コロナウィルスで現代の生活の様式や価値観が覆され壊れた今、読むべき価値があると思う。(私には難しく頭を痛めることになった)

人間の情況を決定するのは関係の絶対性だけである。他人との間に形成される価値観は共同幻想に過ぎないと強く認識せよ。人間は、社会が複雑になればなるほど、何が正しいのかの正解を求めたがる。戦後もっとも難解なベストセラー本。

集団婚で集団生活は円滑、母権性、家畜の所有、貨幣、男性所有、財産を受け継がせ階級差生まれ、その対立を隠蔽するために国家が生まれたとするエンゲルス『家族•私有財産•国家の起源』を強く意識。集団婚疑わしいと家族や男女の関係を感情を伴った対幻想の概念生み出す。

この対幻想が空間的に拡大することで共同幻想となる。嫉妬がない世界なんてない。嫉妬という非合理的な感情こそが国家の成り立ちの基本をなしている。対幻想でありエロス的関係。アマテラスとスサノヲの関係、国生み、誓、巫女、祭儀行為。物語に乗っかることで社会を円滑にする関係の絶対性。遠野物語

国家は非合理なもの、嫉妬、好悪、尊敬、嫌悪が出発点。だから、国家に感情を揺さぶられる。意見の対立、両方の長短を分析して話し合いや仲介をする人は双方から妬まれるから、どっちかに属して疑わない二極化の世の中は怖い。勇気ある人は声を荒げるのではなく、みんなが走ってるのに止まれるひと。

隠されている罪の意識が見えないように国家は作られている。吉本は普段覆い隠されているものをあらわにすることにこだわった。疑問を持つ視点。斜めに見ることの大切さ。現代の国家が絶対正しいということではない。小さな歴史失われた歴史にも注目する。アイヌの文化や琉球王国についてなども。

罪の意識があり、刑法ができ、国家が生まれる。例えば学校の先生が、教室でこれをしてはいけませんとルールを作った時、先生が言ったからだけじゃなく、どうしてそんなルールになったのか遡って検証して、そのルールは本当に正しいのかと疑問を言える場を確保する。

遠野物語での死は仏教の三途の川を渡っていくと言う村全体が共通した物語を持っている、共同幻想。芥川龍之介の自殺する前に書いている『歯車』にあるのは暴走する個人幻想。悪く働くと自ら命を絶ってしまう居場所のない、自分を持て余す状態。共同幻想に抵抗(逆立)する個人幻想。しかし自立は大事。

「沈黙の意味性というものがさしだす一種の裂け目」とは、黙々とまじめに仕事をして生活している大衆がはっと感じる違和感や気づきを大事にしようと吉本は言っている。SNSの大量のバッシングは共同幻想にあたり巻き込まれてしまいそうになるが、私が死ぬっておかしくないか?って違和感大事にする。

夏目漱石の随筆で生きるとは一つ一つの困難を乗り越え続ける、これは特別なことではない。大汗かいて最後は倒れるように死んでいく。この漱石の考えに吉本は深く共鳴し、裂け目という言葉を用いて自立する根拠とする。大衆の現像。インテリ批判ではなく日常の大変さを感じふに落ちない感覚を持っている

一時的で情緒的な集団化や自分の考えこそ正しいのだと思って信じて疑わない時、私たちは幻想の中に入り込んでいる。自分にとって当たり前に見えるものがそうではない非凡だと気づく、これが共同幻想に対抗する、それを続けことが自立した生き方につながる。何故この共同体にいるか自分の意思を確認する。

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アマゾンの『共同幻想論/吉本隆明』のクチコミ

書かれたのは1970年以前、今読み返しても、古さを感じない。

さまざまな問題を抱えているとはいえ、これは名著であることに変わりない。権力関係や支配関係について欠落しているとされる批判を解説であげておられるのは重要。

吉本の代表作ということになると思う。三島由紀夫が文体を絶賛していたというが 確かに簡潔で彫りの深い文体は 例えばカエサルのガリア戦記に比べられるかもしれない。内容は 難解であるとしか言いようが無い一方 詩人吉本の見せる文章の冴えには 関心するばかりである。文章よりは内容が大事であるとする方も多いだろうし 小生もそう思うことも多いが しかし この本の魔力の原動力は 絶対 文章にあります

ついに読んだ。ただし、ほとんどわからなかった。

読んでみて「うーん」と思った。いやはや、この著者は「詩人」なのだ。詩や俳句は論理ではない。論理を語るには言葉の定義づけをしっかりさせないと論が進まない。

『共同幻想論』の著者 吉本隆明はどんな人?

詩人で戦後最大の思想家吉本隆明は、戦後もっとも難解な哲学書と言われる『共同幻想論』の著者で、バナナさんの父である。

太平洋戦争の敗北で見失った自分。国家とは何かを問い続け出版したのは1968年。権力を根底から疑い、西洋の哲学ではなく古事記と遠野物語を読み解き、自ら言葉と思想を紡ぎ出す姿は学生の絶大な指示を得た。

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吉本隆明氏のいう共同幻想とは『共同幻想論/吉本隆明』

国家とは、共同の幻想である。一時的で情緒的な集団化している中にいたり、自分の考えこそ正しいと思い込んでいるときは、幻想の中にいる

引用元/共同幻想論(吉本隆明)より

『国家とは、共同の幻想である。一時的で情緒的な集団化している中にいたり、自分の考えこそ正しいと思い込んでいるときは、幻想の中にいる』

それに対抗するためには、個人の自立した生き方や考えをしている大衆の感覚が大事だと言っています。なんかおかしいぞと感じとれる力は、きちんとした大衆の毎日の生活を生きることにありそうです。

周りに流されない。みんながそっちの流れだから、何かおかしいと思っても言えないとかはやはり変です。共同幻想に流されないで生きることはとても大切なことで、勇気のある人は、違和感を感じた時に立ち止まれる人です。

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まとめ〜『共同幻想論/吉本隆明』を読んでどう思ったか

信じていたもの全てを失っても、諦めずに生き考え続けること。それが生きることだと思った。

軍国少年で、反戦とか厭戦とかを想像すらしていなかった吉本氏は敗戦で自分を見失った。

何故、戦争を疑問もなく受け入れてしまっていたのか、好きだった詩人たちの戦争を賛美した言葉を信じていたのに、戦争が終わったら手のひら返すように平和や民主主義を誉めたたえるのは何故か、日本人とはいったい何なんのだと、吉本氏は考え続けた。

人々を、そして自分を蔑み、汚辱感の中、立ち止まり十分に時間をかけて考え続けて生まれた『共同幻想論』。考え続けなければ生きる意味を見出せなくなった人間のそれでも生きていくために考えることを諦めない力を感じる。

吉本氏は人は40代になるともうこれ以上は何もできることはないと考える人が多いがそんなことはないと言っている。20代で敗戦を経験し、40代で共同幻想論を発表した吉本氏の生き方を見ると納得せざるを得ない。

『本を読むとはどういうことなのか』

恥ずかしながら白状すると、本は読んだが、100分de名著の番組で予習をしいても本の内容は難しいく、半分も読み取れてないと思う。

何を言っているかわからないながら、必死に食らいついたが、果たして本を読んだと言えるのかどうか。

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