パラリンピックの番組に伊藤亜紗さんが出ていました。
『目の見えない人は世界をどう見ているのか』の著者である伊藤亜紗さんは面白い専門家です。美学者というのだそうです。
伊藤亜紗さんは言葉にしにくい感覚を研究する専門家「美学者」
『目の見えない人は世界をどう見ているのか』の著書を以前に読みました。
途中で視覚障害になった人は、一度でも、色や物の形を見たことがあるので、応用することができると思いますが、生まれた時から視覚に障害があって、光を感じることのできない人は、どうやって世界を見ているのでしょう。それを言葉にするなんてできるの?と言うのが本を一番初めに知った時の感想です。
伊藤亜紗さんは、そういう言葉にしにくいものを研究する専門家だということを本を読んで初めて知りました。伊藤さんは美学と呼んでいました。
東京工業大学(環境・社会理工学院社会・人間科学コース)准教授でもあります。
障害によって情報を得る方法はそれぞれ【それを研究している伊藤亜紗さん】
目の見えない人と見える人では、ものの捉え方に違いがあるようです。
人は視覚の情報が8割を超えているという話を見聞きします。確かに、視覚情報優位かもしれませんが、実際に視覚ではない感覚で世界を把握している人々がいるのです。情報は視覚だけで得ているわけではないことがわかります。
『対話の森』という施設があります。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」「ダイアログ・イン・サイレンス」という暗闇を体験したり、静寂を体験するイベントが常設され、ナビゲーターの指示で楽しく体験できる施設です。
あたりまえにあると思いこんでいるその感覚がなかったときに、モノをどう捉えるのかは実際に体験しないと想像することが難しいです。
それをすることによって、目の見えない人や耳の聞こえない人、老いてその能力が衰えた人の立場に立って、物事を考えることを学べます。
それらは、言葉ですることが難しい感覚でありながら、体験すると説明するのは難しいのですが、何らかの気づきがあります。
閉ざされた感覚ではなく、働かせることのできる感覚で情報を掴もうとする力、何かを掴めるような感覚があると感じます。
伊藤さんはそういう人の能力の違いによる異なった感覚を研究する美学者です。
違いを認めて楽しく受け入れるインクルーシブの必要性
視覚を持つ人と持たない人は、そちらの世界とこちらの世界というように、別として考えた方が良いのだと本を読んでわかりました。人よりも感覚が足りない人ではないのです。見えないことによって特別な能力を持った人なのです。
『視覚に障害を持った人々は世界をどう見ているのか』の著書で、生まれつき目の見えない人が、見えるとはどういうことかを晴眼者に聞いて、その感想として、「そちらの世界も面白いね」と興味を持って会話している様子が書かれていました。
そうなんですよ。見えないことが見える人にわからないように、見えない人には見えることがどういうことかわからない人もいるのです。
お互いに興味を持って、「そっちの世界ではどういう感じなの?」と、会話しながら、お酒でも飲んで友達付き合いする世界が良いですね。
社会というのは、人数の多いカテゴリーの一部の人だけが生きやすい道や町の構造ではなくて、みんなが住みやすい社会にならなければいけません。
なぜなら、人口比率で一番数の多い人だけが生きているわけではなく、赤ちゃんも子供も女も男も若者も中年も老人も、目が見えなくても耳が聞こえなくても、感情を表現できなくても他の人が苦手でも、みんながいての社会だからです。そして、工夫すれば、みんなが今より快適に暮らせるようになるからです。
自分には関係がなくても、他の人にストレスがなければ争いは減るかもしれないし、事故も減るのかもしれない。直接の被害者にならなくても加害者になることがあるかもしれない。だから、今、インクルーシブが大切なのだと思います。
友人の疑問から、違いを認めて、相手の立場になって考えることと、一緒の世界で共存できるのに、多数側の都合で、わざわざ分けて区切ってしますことは別だと言うことを学んだことがあります。
興味がある方は、読んでみてください。
まとめー『目の見えない人は世界をどう見ているのか』の著者、伊藤亜紗さんとはどんな人か
東京工業大学(環境・社会理工学院社会・人間科学コース)准教授であり、感覚を調べる学問、言葉にしにくい感覚を研究する専門家、人間の素晴らしい力を研究する美学者です。
無いことによって得られた感覚、その体だからこそ得た優れたバランス感覚や察する感覚など、人間の可能性や能力は、伊藤さんがいうように美しいです。
「違いを認めて、お互いを楽しく認め合う世界」良いですね〜。
自分と違う人を排除する世界に未来は感じられません。